
~小野茶について~
夢塩プロジェクトメンバー(以下、夢塩):本日はお忙しい中お時間を頂きましてありがとうございます。
このインタビューを通して宇部の特産品”小野茶”の魅力よく知って頂くきっかけになればと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
山口茶業 堀野社長(以下、堀野):今日はよくいらっしゃいました。よろしくお願い致します。
夢塩:では、さっそくお話をお伺いしたいのですが、過去の歴史で山口県は防長茶を作っていたというのを聞いたことがあるのですが、本当ですか?
堀野:本当ですよ。江戸時代中期から明治時代中期頃まで山口県の貴重な財源だったんですよ。
夢塩:そうなんですね。例えばどこの地方でたくさん売れたとかあるんですか?
堀野:東北地方です。東北の人は濃いお茶が好きなので小野茶が合うそうですよ。以前東北地方であった山口物産展で行った時に身近に感じてもらえました。
夢塩:山口物産展ってなんですか
堀野:全国を回って、試飲・試食をしながら宣伝活動をする組織です。
夢塩:例えばどこで売ったんですか?
堀野:東京の三越では53回2月に行いました。
夢塩:すごいですね。物産展で大変だったこととかありますか?
堀野:「どうぞ飲んでください。」って言ってもなかなか飲んでもらえないことですね。
夢塩:私たちも広島駅で商品販売をした際みなさんにおすすめしてもなかなか最初は、
試食してもらえませんでした。何か研究をされたことはありますか?
堀野:どういう風な格好でどういう風にすすめたら、手にとって飲んでいただけるかなというのを色々なお茶屋さんや他の物産展の様子を見ながらですね、研究しました。
夢塩:私たちも声掛けなどを練習しました。何かいろいろと工夫されたことは、ありますか?
堀野:苦いお茶でも渋いお茶でも入れ方によって飲みやすくなるということが分かったんで、試飲の時のお茶の入れ方を工夫しました。
夢塩:私たちもどうすればおいしいさが伝わるか研究しました。
実際にお客さんと接してうれしかったことはありますか?
堀野:「これは美味しい」とか「このお茶は味が濃いね」などの感想をもらえることですね。それをひとつのきっかけにして、お客さんをつなげていくということをしました。
夢塩:私たちも買っていただいた時は、うれしかったです。

〜小野茶の歴史〜
夢塩:次に山口茶業さんの歴史を教えていただいてよろしいでしょうか?
堀野:50年前にお茶を作り始めた当初はですね、山口県の要請で小野茶が百ヘクタールできたけれども、販売先がないということで、組織を作って宣伝販売にひとつ活動をしてくれということで、当時は七名を発起人にして株式会社山口茶業を作りました。
夢塩:販売先を見つけるうえで大変だったことはありますか?
堀野:特産品といってもね、有名であれば買ってくれるけどね、名もない、今までの歴史的なものもない商品なると、誰も見向きをしてくれない。地元で買おうと思っても取引をしてくれるところがなかったんですよ。売上を立てるにはどうしたらいいか困っていたんです。そして山口物産展に入りました。
夢塩:そうだったんですね。地元に取引先がないなら全国へすごい発想ですね。
〜美味しい小野茶の入れ方〜
夢塩:次に美味しい小野茶の入れ方、そして美味しい飲み方などありましたらぜひ教えてください。
堀野:お茶は、大抵食事の時に飲むのが普通です。その時は、熱湯でお茶を入れてください。甘いものを食べた後、苦いお茶渋いお茶を飲むとそのご飯の美味しさが復活しますよ。
夢塩:今度ご飯と一緒に飲んでみます。ほかにも時期によってお茶の味が変わると聞いたのですが?
堀野:変わりますよ。5月に採れるお茶というのは、甘みがすごく強くて、6月のお茶の方が苦味、渋味が強いお茶ができます。
夢塩:そうなんですね。それには、理由があるのでしょうか?
堀野:日差しが強くなると、光合成作用が盛んになるんですね。光合成作用の中にお茶の苦味とか渋味が発生するんです。
夢塩:日差しが影響するのですね。他にも影響を受ける環境はあるのでしょうか?
堀野:根本は土の性質によるんですよね。中国地方は花崗岩ですね。そういうのが中心ですから、どうしても苦味渋みが強くなるんですね。大体基本は土質と太陽の光で決まります。
夢塩:他にも土壌も特別だと聞きました。
堀野:土質が非常に酸性な土壌なんですよ。それも渋くて苦いお茶ができる理由ですね。
〜小野茶にあう食べ物〜
夢塩:ありがとうございます。そんな環境で作られる小野茶と相性の良い食べ物はありますか?
堀野:割とあの小野茶は味が濃いということで、まあ、昔から山口県はあの茶粥とかを食べる習慣があるんですが、小野茶は茶がゆにとても合うんですよ。
夢塩:周防大島にも昔から茶がゆを食べる文化がありますが、今度小野茶で作った茶がゆを食べてみたいと思います。他にも相性の良い食べ物はありますか?
堀野:マグロやトロのような脂っこいお寿司を食べた後は、口の中は油だらけになるから、味がわかりにくくなる。その時はお茶を飲んで、口をきれいに洗ってから次のお寿司を食べてみるとかですかね。
夢塩:へぇー、お口の中をリセットをするときにお茶が一役かうんですね。
堀野:そうなんですよ。ほかにもお茶を飲んで口の中の細菌、それから胃とか胃腸に入ってしまった細菌もそこで殺してしまうんですよ。
夢塩:なぜお寿司屋さんに温かいお茶が用意されているかわかりました。

〜飲みやすい小野茶〜
夢塩:小野茶はとても飲みやすいのはなぜですか?
堀野:一回蒸気で蒸して葉っぱを揉みます。その後、水分が約3%の含有量がになるまで乾燥させる。かなり小野茶の場合はしっかり乾燥するんで、香ばしさができますよね。
夢塩:そういった工夫の積み重ねが飲みやすさにもつながるのですね。
それからお茶は体に良いイメージがありますが、小野茶には健康に良い効果がありますか?
堀野:まずお茶の煎茶の渋みのお茶を飲むと虫歯発生が少なくなります。だから小さいお子さんでもお茶でうがいをさせればいいかなと思いますね。
夢塩:お茶でうがいをするという考えがなかったので今度してみようと思います。
また、実際に小野茶鹽飴を食べていただいた時の飴の仕上がりや、感想などお願いします。
堀野:結構あの塩というのが甘いものの反対だから際立つんじゃないかと、塩の粒が非常に細いから、何にでもなじむんでしょう。まんべんなく味がついてきますんでね、とても美味しいですよ。
〜小野茶を栽培するようになった経緯〜
夢塩:小野茶鹽飴を喜んでいただけてとてもうれしいです。
次に、堀野さんの生い立ちや経歴、小野茶の生産に携わることになったきっかけなどについても、お話をお聞かせください。
堀野:私の父が福岡県八女市でお茶の栽培を始めました。ところが八女というところは土地が非肥沃(ひひんび)ですから、割とさっぱりしてるお茶になります。
しかし、日本食がだんだん欧米化していくと、八女のお茶では物足りなくなる。だから味の濃いお茶が採れる土地を探したんですよね。
夢塩:それが山口県だったのには、なにか理由があるんですか?
堀野:ここに湖がありますけど、ここの湖では非常に濃い霧が発生するんですよね。で、そういうところで採れるお茶は割と味が濃くまろやかなんですよね。ここはお茶を作るのにもってこいの土地だなと父は思ったそうです。
夢塩:私たちもこの湖を見てとてもきれいだと思いました。堀野さんは山口県に引っ越した時の思い出はありますか?
堀野:福岡の時は周りにいっぱい民家があって友達も多かったんですけど、こっちに来ると山の中の一軒家だから嫌でたまらなかった。友達もできないし。だから一年中ほっぺたをつねってこれが夢であればいいということを何年間か続けた記憶がありますね。

〜父の意志を継いだ理由〜
夢塩:そうだったんですね。とても大変でしたね。
次に小野茶の後を継いだ理由を教えてください。
堀野:ああ、僕は嫌だなと思ってたんですね。だから就職も全く別の所に就職したりしたんですけど、母が亡くなった時に、後を継ぐとか言うことではなくて、やはり山口県や宇部市とか、国からいろいろ補助金をもらってあの広大な茶畑ができたと言うこと、そういうやっぱり誰かがしっかりと宣伝していかないといけないという使命感みたいなものを感じました。
夢塩:僕には、こんな決断できないと思います。では、山口県に帰ってきてから大変だったことは、ありますか。
堀野:話をするのが苦手だったのですが、お茶を売って歩くのに必要で、話を好きにならないといけんと一生懸命にしゃべりました。とにかく話さないとものが売れないと言うか。内容が伝わらないということですね。
夢塩:私たちもプレゼンがある時最初はなかなかうまくいかず、何回も練習しました。
〜お客様に伝えたいこと〜
夢塩:次にお茶を通して読者の皆様にお伝えしたいことはありますか?
堀野:やっぱりお茶が好きな人はそれを毎日の習慣にしていってもらいたいです。どんなに苦いお茶でもそれを飲み続けていくと美味しくなるんですよね。それから産地によって皆それぞれ特色があるんで、お茶を好きになっていろいろと飲んでみてもらえるといいですね。
夢塩:私も様々なお茶を飲んでみたいと思います。

〜今後の展望〜
夢塩:次に今後の展望をお聞かせください。
堀野:茶摘み体験をしていただきたい。カマキリとかバッタとか、あるいはテントウムシとか、それを小さい子供が見ると喜ぶんですよ。そういう経験というのは、最近ではやっぱりなかなかできないことで、それを自然の中でね、経験していくことがとても思い出に残ると思います。
夢塩:楽しそうです。やってみたくなりました。
堀野:それから無農薬の茶畑があるのですが、これをもう少し広げたいです。
夢塩:安心安全で飲むことができますね。

〜宇部市について〜
夢塩:最後に山口県、宇部市の魅力を教えてください。
堀野:特に好きなのは彫刻ですね。これは非常に宇部ならではの優れたことだと思うし、その彫刻というのがいろんな彫刻があるでしょ。ときわ公園にありますね。ええ、人の像もあるけど、いろんな造形美がね。
子供が小さい時には、僕の町にはこういう彫刻があるんだということの素晴らしさはね、外に出て行ってから始めて気づくことだろうと思うんで、それを大事にしてもらいたいです。
夢塩:災害が少ないと聞いたこともあります。
堀野:特にやっぱ災害がね、これだけ全国にある中で少ないということと、まあ、気候が割と温暖であるし、それから周りが海であり山であり、そこで獲れるものもね。美味しいものがたくさんあります。宇部はね、いい所ですよ。みなさんに、ぜひ来ていただきたいね。宇部、そして山口県に。
夢塩:本日は貴重なお話をたくさんお伺いすることができました。読者のみなさんにもきっと小野茶のすばらしさが伝わったと思います。堀野さん、ありがとうございました。
